2016年から取り組んでいる複業(副業)がお陰様で順調に規模が伸びていて、事業の法人化も視野に入れ始めています。
結論として2021年3月時点ではこのまま個人事業として継続することにしましたが、色々調べてわかったサラリーマンしながらの法人化のメリット・デメリットを紹介します。
この記事の目次一覧
そもそも法人化を検討するのはなぜか?
副業の稼ぎが増えると法人化を考えるようになるのは節税が主目的です。
今の僕のようにサラリーマン+個人事業主は
- 給与所得控除
- 青色申告特別控除
- 経費
の3つを同時に使えるほか、個人事業で稼いだ額に対して社会保険料が一切かからないという究極のメリットを活かすことが可能で、節税面ではかなり強い位置にいます。
ただし個人の所得は増えれば増えるほど所得税も増える累進課税のため、このまま順調に副業が成長するにつれて税負担が増えてしまいます。
この個人事業を仮に法人化するとどうなるか?
簡単に言ってしまえば法人でどれだけ稼いでも課せられる税率がある基準を境に一定になり、納税額を少なくすることができるのです。
脱税はもちろんダメですが節税はオッケー。与えられた枠組みの中でうまく立ち回ることで合法的に税金を少なくすることができるようになるんです。
手間は増えるがメリットも増える。それでもまだ法人化しない理由
税金だけを見れば法人化したほうがお得。頭ではわかっていながらも二の足を踏んでいる理由を紹介します。
個人事業の法人化についてたくさん本を読んで自分なりに勉強しましたが、その中でもある程度要点がまとまっている『個人事業を会社にするメリット・デメリットがぜんぶわかる本』をベースにしてお話していきます。
法人が有利:節税
真っ先に考えるのは節税面です。これは単純に所得額の多寡が判断基準になり、節税面では圧倒的に法人が有利です。そもそも法人と個人では税率が違うんですよね。
法人:21%〜33%
個人:5%〜45%
稼ぎが少ない時は個人事業のほうが税金が少なく、順調に利益が出始めると法人が得する計算ですね。また、法人では利用できる控除の種類が多く、赤字繰越も長い(法人9年:個人3年)のが特徴です。
一般的に個人事業の所得が年間300万〜400万を越え始めたら法人化したほうがお得といわれています。
ただし単純にお金を判断軸にしてしまうとこの後で紹介するデメリットが見えなくなってしまうので注意しましょう。
法人が有利:経費
法人は経費として落とせる項目が増えます。
会社名義で車を買えば社用車になるし、接待交際費も利用可能です。社宅という概念が生まれたり、出張手当として経費を増やすこともできます。
個人事業であっても事業に関する経費が全額計上できる点は変わりませんが、法人のほうが幅が広がり、認められやすいという特徴があります。
法人が有利:信用
体外面では圧倒的に法人が有利です。
株式会社◯◯と名乗ればお客さんの信用度も高くなりますし、企業によってはちゃんとした法人のみ取引しますという制約もあるようです。
私の事業ではお金の借り入れなどは不要ですが、銀行にお世話になる際でも個人事業はハードルが高く、法人のほうが信用されるというメリットもありますね。
代表取締役社長の肩書を名乗れるのも株式会社の特権です。私のような個人事業では代表としか名乗れません。
法人が有利:人を雇う
もし人を雇うことがあるなら法人のほうが集まりやすいでしょう。これも信用に関わるところですね。
(個人事業は基本的に1人、もしくは配偶者を巻き込んでやることが多いので人を雇う機会はほぼありません。)
法人が有利:事業の売却
事業を何らかの理由で売却する時も法人のほうが有利(簡単)です。
法人は株式の売買だけで成立しますが、個人事業の場合は個人名義のものを法人に変更するため様々な手間がかかるようで、考えただけでも頭が痛くなりそうです。
法人が有利:助成金が多い
法人は利用できる助成金が多く存在します。
もちろん個人事業でも助成金はありますが、使える幅が制限されているんですね。
ただし各種助成金は申請方法や条件が複雑なため、一般的には社労士を雇ってお願いすることが多いそう。当然そうなれば社労士に払う費用も発生しますが、損して得取れということなんでしょうね。
個人が有利:手間
法人成りするのは単純に面倒くさいです。
会社印・定款の作成から始まり、登記資料の届け出や個人事業の廃業手続き、社会保険の加入手続きなどとにかく煩雑・面倒くさい!
これらの業務を一括して税理士さんにお願いすれば楽ちんですが、当然その費用もかかります。
僕のようにサラリーマンをしながら法人成りする場合は時間が圧倒的に足りないため必然的に税理士さんにお願いすることになるのでしょうね。
個人が有利:費用がかかる
法人成りするだけで単純に20数万円のお金がかかります。
もしそれを税理士さんにお願いすればさらに10数万円必要ですし、決算もお願いすることになると思うのでさらに年間20〜30万円かかるでしょう。
会社の利益がゼロ(もしくは赤字)でも強制的に住民税均等割が7万円〜必要です。
『法人が有利:節税』の項目で法人化の目安は所得300万〜400万と紹介しましたが、ボーダーラインギリギリの所得で法人成りすると経費の方が多くかかり、手間と労力が増えるだけでなく手取りもマイナスになる恐れがあるんですね。
個人が有利:社会保険の加入
法人成りすると社会保険の加入が義務付けられます。社員が自分1人だけのマイクロ法人でも必須で、これがネックで法人化をあきらめる人も少なくないと聞きます。
ただしこれは法人と個人事業の2つを組み合わせて法人の所得を少なく調整することで社会保険料を減額することが可能なんです。
個人が有利:経理処理・決算処理
法人化すると個人のお金と会社のお金を混同することが一切できなくなります。
個人事業でもキチンと個人と事業のお金はわけるんですが、個人事業には事業主勘定(事業主借・事業主貸)という勘定科目があり、個人の財布から事業経費を払っても日々の帳簿付けは意外と簡単だったりします。
法人化すると事業主勘定は使えなくなり、厳格な仕分けが必要です。
また、期末の決算が無いのも個人事業の有利なポイントかと思います。
個人事業ではいわゆる確定申告がありますが、毎日の帳簿付けをしっかりやっておけば会計ソフトを使うことで意外と簡単に終わってしまいます。
ゆーすけ
僕はずっと “freee “を使っています
ところが法人は決算が必要で、確定申告みたいに会計ソフトだけ使っていればいいわけではなく、専門の会計知識が求められます。
当然この部分は税理士さんにお願いすることになるのでしょうが、それもお金がかかってきますよね。
結論:面倒くさそうなので先送り
これ以外にもメリット・デメリットはありますが、結論は面倒くさそうなので法人化しないということ。
副業の売上規模の問題もありますが、なんといっても手間がかかるのがダメかなと思っています。
もちろんお金をかけて手間を節約するのは大切なんですが、そこにお金をかけるぐらいなら資産運用にまわしたほうがいい気もしますし、余計なことを考えず事業・本業に集中できます。
ただし副業が今後大幅に拡大した時は話は別です。
その場合は独立も視野に入れつつ、法人と個人を組み合わせた節税を検討したり、本格的に税理士さんにお願いして最善の策を講じた方がいいと思っています。
自分で管理下に置くこと
こうやって仕事を自分の管理下に置き始めると気持ちの持ちようが変わってきます。
サラリーマンは会社に支配される側ですが、個人事業をしたりそれを法人化することで自分の管理下に仕事を置くようになり、普通のサラリーマンとは異なる位置から俯瞰して人生を捉えるようになります。
将来を見据えつつまだまだ勉強していきます