MV SANCHIの衝突、沈没、油の流出。日本で報道しないのはなぜ?




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ゆーすけ(守屋祐輔)

ブログに加え、デザイン、カメラマン、執筆をこなす複業サラリーマン。時間を管理し、多様な働き方を取り入れるライフスタイルを提唱中。プロフィールはこちら。運営サイト:サインを作るならご署名ネット。クラシックミニ専門サイトの32miniドットコム

こんにちは、パラレルブロガーのゆーすけ()です。

2018年1月6日、パナマ船籍の原油タンカー “MV Sanchi” が中国・上海から約300キロ離れた東シナ海沖合で貨物船と衝突しました。

火災が発生し、操船不能となった本船はしばらく漂流を続けていましたが、2018年1月14日に爆発・沈没しました。

MV Sanchiの乗組員32名は全員死亡、衝突した貨物船の乗組員21名は全員救助されました。

石油タンカーMV Sanchiについて簡単に解説します」でMV Sanchiについて簡単に解説しています。

衝突した貨物船 MV CF Crystalについては「MV CF Crystalの基本情報を紹介します」で解説しています。

尊い人命が失われた事は悲しむべきことですが、この事故はそれでは終わりません。

MV Sanchiに積載していた136,000トン(960,000バレル)もの大量の天然ガスコンデンセート(natural-gas condensate)が海上流出し、黒潮の流れに乗って日本を含めた近隣諸国に押し寄せているのです。

過去数十年に置きたタンカー事故の中でも最大級に大きな事故ともいわれる今回の件。

日本にも影響が出ることが考えられるにも関わらず、日本ではどうして報道されていないのでしょうか?

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MV Sanchiが衝突、沈没した場所

MV Sanchiは上海から約300キロ離れた海上で衝突、そこから徐々に沖縄方面に流されて沈没しました。

位置関係はこのような感じです。

Sanchi1

衝突した貨物船はMV CF Crystalという香港船籍の75,000トン貨物船です。

船にはAISという装置が取り付けられています。これは船の現在地や速力、目的地などの船舶情報を自動送信するための装置で、これを使うと船がどういう航路を走行したか一目瞭然になります。

洋上衝突の時にどういう操作をしたか証拠として使われることもある程に信憑性の高いもので、さっそくAISでMV SanchiとMV CF Crystalの事故当時の航路を調べてみました。

が、しかし。

MV Sanchiは1月5日11時45分、貨物船のMV CF Crystalは1月6日0時00分を最後にAISの記録が残っていません

海上事故の歴史に残るであろうクラスの事故の時はAISも隠されてしまうんでしょうか?

上の画像で緑色で引いた線は僕が付け足した線で、おそらくこういう進路で走っていたという予想進路です。

MV SanchiもMV CF Crystalも途中まで矢印が表示されているのがわかると思いますが、これがAISによる航路の記録です。

CF Crystalは衝突こそしましたが沈没まではせず、舟山市(しゅうざんし, Zhoushan)の港で取り調べを受け、現在は動き始めています。

MV Sanchiに積んでいた天然ガスコンデンセート

Sanchi2
Credit: China Daily/Reuters

沈没したMV Sanchiに積載していた天然ガスコンデンセートというもの。

以下はWikiの説明です。

天然ガスの採収にあたり地表において凝縮分離した軽質液状炭化水素。常温常圧で液体である。ナフサの成分とよく似ており、石油化学原料として利用される。硫黄、ヒ素、水銀、鉛などの単体または化合物を不純物として含むことがある。-Wiki

人体に極めて有害とされるベンゼン、トルエン、キシレン、エチレンベンゼンも含んでいるため、海洋生物への影響が必ずあります。

136,000トンもの天然ガスコンデンセートが海上流出した事故は過去に事例がなく、どれほど甚大な被害が出るかは予測不能という声が出ています。

Condensate has never before been unleashed into the sea in large quantities. –nature

次の図はNational Oceanography CentreとUniversity of Southamptonの学者がシミュレーションしたコンデンセートの影響範囲の図です。

Sanchi3

MV Sanchiが沈没したと想定される箇所は強い黒潮の流れがあります。

その影響で2月中旬には九州、四国、東海地方にも有害物質を含んだ海流が流れ込み、海洋生物への影響が心配されています。

MV Sanchiには約2,000トンの燃料も積まれた状態でした。

船はすでに沈没してしまいサルベージ(海中から引き上げること)はほぼ不可能で、沈んだ船の残骸からは燃料と天然ガスコンデンセートは流出し続けます。

燃料流出による日本への今後の被害に加え、超有害なコンデンセートの流出による海洋生物への即効性の有害影響も気にする必要があります。

しかし今現在で沈んだ本船にどれだけのコンデンセートが残っているか把握できてなく、海に溶け出したコンデンセートは周囲の生態系に確実に悪影響を与えています。

Sanchi4
10th Regional Coast Guard Headquarters/Handout

MV Sanchiの乗組員全員が亡くなった背景

積んでいたコンデンセートは引火性が高く、衝突の衝撃で燃え上がった炎に巻き込まれて亡くなった船員や有毒ガスで亡くなった船員がほとんどではないかと言われています。

本船を運航していたイランのNITC(National Iranian Tanker Company)という石油会社は亡くなったとある乗組員についてHPで言及しています。

He said so far the body of one of the crew member has been found but he has not been identified as his face has been ruined by the blaze but measures are being taken to identify the man.-NITC

「遺体が見つかったが顔面がひどく焼け焦げており、サイズ(体や装飾品など)から身元を割り出している」

炎上の激しさを物語る言葉です。

一方でNITCはこんなコメントも残しています。

The found body was wearing a life jacket which shows the crew has had enough time to use such equipment.-NITC

「遺体はライフジャケットを着用しており、それらを着るだけの時間的余裕はあったようだ」

船が航行している間、船員さんは基本的にみんなラフで動きやすい格好をしています。

ビシッと制服を着るのはセレモニーや式典、もしくはかなり大切なお客さんが訪船する時くらいで、普段は船長でさえTシャツ姿で船上生活を送るのが一般的です。

MV Sanchiは衝突後まもなく出火したと言われています。

そんな状況でも乗組員らがライフジャケットを着用していたということは彼ら自身で少しでも消火活動をしようとしていたのか、もしくは命からがらライフジャケットを着たまではよかったものの、有毒ガスか炎に巻き込まれ、海に逃げる隙もなく亡くなってしまったのか、今となっては想像の域を脱することはできません。

ブラックボックスはすでにオープンされ、その時の様子も公開されました。

あとは事故の責任の所在をハッキリさせることが大事です。回避義務という言葉だけにおどらされてしまうと本質が見えなくなってしまうので注意が必要だと感じています。

石油タンカーMV Sanchiの回避義務?事故責任の所在はどこに? | ムクッといこう

日本で報道されない理由は?

過去数十年で最大規模の海洋環境事故とされ、その影響のほとんどが日本に押し寄せてくることが想定されているにも関わらず、日本ではどうして大きくこのことを取り上げないのでしょうか?

Sanchi5

事故が発生した当時は色々なメディアで取り上げられてはいましたが、その後だんだんと日本への被害が想定され始めた頃からぱたりと新しい情報を見なくなりました。

日本の排他的経済水域の近くで発生した事故で、黒潮の流れと被害の予測を見れば環境汚染や漁業への影響が容易に想像できる状況でありながら、環境省や海上保安庁から情報が出てこないのが不思議でたまりません。

MV Sanchiに対する日本の対応が遅すぎる | ムクッといこう

テレビや雑誌でも全くといっていいほど報道されることもありません。

一部ネットの情報では「日中関係の悪化防止、2年後のオリンピック対策のため」という声もあり、援助しようとした日本の要請を拒否した中国の姿勢が浮き彫りになると中国への敵意が募るために報道しないのでは?という憶測もあります。

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今後の動きが気になります

果たして日本への影響が出始めるとされる2月中旬から一体どんな変化が起こるのか。

シミュレーションが現実のものとなれば、九州地方の漁業は全滅、被害は徐々に北上し、日本全国に広がります。

今後の動きに注目です。

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