ニューヨークでジャマイカ人にお金をダマし盗られた時のお話

こんにちは、ゆーすけ()です。

日本は安全な国として知られていて、女性が夜一人で出歩いていたとしても大丈夫ですよね。

そんな安全大国で育ったからなのか、はたまた自分の注意力不足、常識知らずのせいなのか、10年ほど昔にNYでジャマイカ人にお金をダマし盗られるという経験をしたことがあります。

今となっては笑い話ですが、時々ふとした拍子に思い出すこのお話。

今日はこれを紹介したいと思います。

ボストン留学中の出来事

話は今から10年ほど前、僕が大学4年の夏休みの頃までさかのぼります。

通っていた松山大学のプログラムを利用し、アメリカのボストンに1ヶ月間の短期留学をしていたことがあります。

現地の家族にホームステイしつつ、ボストン市内の語学学校に通って英語を勉強するというとてもおもしろい体験で、いい経験ができたなと今でも感じています。

ボストン生活にも慣れてきたある日、土日を利用してNYに一人で行ってみようと思いつきました。

アメリカの地理は全く頭に入っていませんが、なんとボストンとNYは意外と近い場所にあるんですね。

夜行バスを利用すれば夜にボストンを出発して翌早朝にはNYに到着するというなんとも便利な位置関係です。

いきなり一人で、しかも夜行バスを使って初めてのNYの地に行くというかなり行動的な旅行プランでしたが、せっかくアメリカにいるんだからという気持ちが後押ししてくれました。

期待と不安を胸にボストンの街を出発、翌日の朝5時くらいにNYに到着してまだ薄暗いNY市内をウロウロしていました。

テレビで見たNYがそこにあった!

月並みな感想ですが、テレビでしか見たことがなかったNY市街を目の当たりにした時は感動しました。

最初はそれほど実感がなかったNYですが、陽がのぼってだんだん街に活気が出てくると自分は今NYにいるんだという気持ちが大きくなってきました。

今はネットを使えば現地のリアルタイム映像を見ることができるため国境を感じないタイミングが増えてきていますが、やはり自分が実際に訪れて目で見る体験はいつになっても大事だと感じます。

事件はセントラルパークで起こった!

初めてのNYはとても楽しいもので、歩いていける距離ではありますがいろいろな観光名所をまわりました。

そしてお昼に近づいてきたのでそろそろどこかで休憩しようかと思いつつ、NYの憩いの場所であるセントラルパークの周りを歩いていた時、ヤツが現れたのです。

ちょっと歩き疲れた僕。

ベンチに座って周囲の景色を眺めていました。

自分はNYにいるんだなぁとシミジミ考えていると、同じベンチに腰掛けてきた人物が一人。

「(英語で)やぁ、旅行かい?」

その人は大きなリュックを背負った黒人でした。

年の頃は(たぶん)僕より少し上くらい。

名前は仮にマラカスとでもしておきましょう。

「そうです、NY観光です」

そう答えた僕に気を良くしたのか、マラカスはどんどん話しかけてきます。

「僕はマラカス。ジャマイカから昨日アメリカに来たばかりでこのあたりのことがよくわからないんだ。日本人?英語話せるんだね。名前は?・・・ゆーすけっていうのか」

知らない人といきなりフレンドリーに話すことに慣れていない日本人にとって、彼ら外国人の積極性にはびっくりすることがあります。

この時も同じで、いきなり始まった会話に多少うろたえつつも旅先の出会いを楽しんでいた僕。

英語を教えてあげるから日本語おしえてくれよーという流れでお互いのメールアドレスの交換までいつの間にか済ませてしまいました。

ここまではまぁ和気あいあいと出会いを楽しんでいた感じでした。

一緒に銀行に行こう

すっかり意気投合(?)した僕とマラカス。

せっかくだからランチを一緒に食べようということになり、お店を探すことになりました。

お互い初めてのNYということもあって色々なお店に目移りしていると突然「まず銀行に一緒に来てくれないか」とマラカスが言うではありませんか。

彼が言うには昨日ジャマイカからアメリカに来たばかりなのでドル紙幣がほとんどないんだとか。

まず銀行でお金を下ろしたいから一緒についてきて欲しいんだということ。

まぁそれなら銀行行くしかないよねと思い、歩いて5分ほどの場所にある銀行まで一緒に歩き、窓口でおろしてくるから待っててくれと言い残すとマラカスは銀行に入って行きました。

10分ほどして銀行から出てきたかと思うと、何やら彼の表情が曇っていました。

お金をかしてくれないか

どうした、何かあったのかと聞いてみるとマラカスは困った表情で「どうやら国際間でお金を下ろそうとすると手数料が2000円ほどかかるらしい。手持ちの現金じゃ足りないから貸してくれないか」と言うではありませんか。

国際送金の詳しいルールなど知りもしなかった僕。

あまりに深刻な顔をしているマラカスを見て「まぁもしここで騙されていたとしても2000円くらいならいいか」という思いもあり、彼にお金を渡しました。

「ありがとう、これで大丈夫だ。行ってくるよ」

そう言い残すと彼は再び銀行に入って行きました。

それからまた10分後。

またもや暗い表情で出てきたマラカスから衝撃の言葉が飛び出します。

「信じられないかもしれないが、送金の最終段階になってまた手数料がいるらしい。今度は20000円ほどかかるみたいだ。これさえクリアすればあとはお金を渡してもらえるらしいんだが、また貸してくれないか

いやいやいや、さすがにそれはおかしいでしょ!?

何かの間違いに違いない!

いくらなんでもそんなに手数料がかかるなんておかしいし、知り合って数十分のジャマイカ人にそんな大金を渡すほど俺もお人好しじゃないよ、という気持ちになり、おそらくそれが伝わったんでしょう、落ち込んだ様子で暗い表情になったマラカス。

すると突然、彼は驚くべき行動に出るのです。

ベビーカーを押す若奥さん

急に走りだしたマラカス。

彼が向かった先は僕の場所から10メートルほど離れた通りを歩く、ベビーカーを押していた若奥さんのところでした。

マラカスは奥さんに話しかけ、銀行の方を指差しながらしきりに何かを訴えかけます。

少しオーバーなリアクションを交えつつ話すマラカスですが、会話内容までは聞こえません。

しばらくマラカスの話を聞いていた奥さんですが、首を縦に振り、そのまま通りを歩いていってしまいました。

とぼとぼと僕のところに歩いてくるマラカス。

「やっぱりこの銀行では手数料がかかるらしい。国際送金はどうしてこんなにお金がかかるんだ」

高額な手数料が信じられなかったマラカスは現地の人なら事情がわかるだろうということで通行人に確認していたのです。

その姿を見た僕の頭の中では今までの考えとは違うことが浮かび上がってきました。

「あ、そうなんだ、本当に手数料がかかるんだな」

この瞬間、僕はマラカスが仕掛けた罠にまんまと引っかかってしまったのです。

そして手数料が発生するとおろかにも信じこまされてしまった僕は20000円という大金をマラカスに渡してしまいました。

「ありがとう、これでもう大丈夫だ。お金はすぐ返すよ。食べたいランチでも考えていてくれよ」

そしてマラカスは銀行に意気揚々と入っていくのですが、20分たっても30分たっても出てくる気配がありません。

何かあったのかと思い銀行の中に入ってみましたがマラカスの姿が見えません。

入り口のところに立っていたガードマンにマラカスの特徴を伝えて彼を見てないかと聞いても「見てない」の一言。

銀行には出入り口が2箇所あり、僕からお金を受け取ったマラカスは僕からは見えないもう一つの出口からこっそり抜け出し、そのまま逃げてしまったのです。

この時はじめて「騙された!!」ということに気づいた僕でしたが時すでに遅し。

初めてのNYの地で出会って1時間もたってない見ず知らずのジャマイカ人にまんまと22000円を騙し盗られてしまいました。

NYで泊まっているホテルの名前まで聞いていたので通行人を捕まえてホテルの場所を聞き出そうとしましたが、そんなホテルは聞いたことがないという返事ばかり。

教えてもらったメールアドレスにメッセージを送ってみましたが、10年たった今でも返信待ちのままです。

幸いなことに現金はもう少し持っていたのでおみやげを買ったり食事をする余裕はありましたが、高い勉強料を取られてしまいました。

反省点は3箇所

今回の珍事件。

反省すべき点が3つあります。

1. 最初の手数料2000円を貸してしまったこと

銀行に到着して最初に必要だと言われた2000円の手数料。

他人にいきなりお金を貸すという行動は僕自身いまでも信じられませんが、とにかくこの最初の行動から失敗しました。

こいつは頼めばお金を出してくれるに違いない

そう認識されてしまった僕は、そのままズルズルとマラカスの罠にハマっていくのです。

2. ベビーカーを押す奥さん

通りを歩いていたベビーカーを押す若奥さんに話しかけたマラカス。

この時に僕も一緒に彼らのもとにいって話を聞いておくべきでした。

おそらくあの時マラカスは手数料の話などはしていません。

他愛もない話を奥さんにもちかけ、銀行を指差しながら奥さんが首を縦に振るであろう質問をするだけでよかったのです。

マラカスにとって質問内容はどうでもよく、大事なポイントは奥さんが「YES」と言う瞬間を僕に見せること、ここにありました。

通りを歩く第三者がYESというなら本当に手数料がかかるんだろうと思いこまされてしまった僕でした。

3. 自分で確認するべきだった

何の罪もない奥さんまでも利用したマラカスの作戦ですが、見破れるタイミングはもう一つありました。

いくら奥さんが首を縦に振ろうが、僕が実際に銀行に行って係の人に手数料のことを直接確認すればそれで全てがわかったはずでした。

そこでマラカスが嘘を言っていることがわかり、その後彼と行動をともにすることはなかったでしょう。

しかし僕はその手間を惜しみ、彼らの言動を見ただけで信じこんでしまったのです。

初めてのNYの地、よく知らない国際送金、そこにお金がからんでくる。

これだけ条件が揃っていれば最終的に自分で確認して当たり前のことだと今なら思いますが、当時の僕はそこまで頭がまわってなかったんですね。

笑い話だけど気をつけよう

今でこそ笑い話として話せる今回の事件ですが、正直お金だけで済んでよかったなと思います。

もしこれが最悪自分の命に関わるようなことだったらと考えると、いきなり知らない人について行くことに恐ろしさを感じます。

日本人とは違うフレンドリーさ、積極さは見習うところがたくさんありますが、かといって全面的にいきなり信頼を置くことは危険を伴います。

日本にいるから大丈夫と思わず、いつ何時じぶんたちの身に起こるかわからないことなので、みなさんも十分に注意しましょう!

ゆーすけ(守屋祐輔)

ゆーすけ(守屋祐輔)

複業サラリーマン

会社員×ブログ×デザイン×講師×投資の5つの働き方・稼ぎ方を実践する複業サラリーマンブロガー ▼複業で立ち上げたご署名ネットではこれまで1,600人以上、11,000点以上の作成実績。TV, ラジオ, 雑誌など出てます。▼経験から学んだノウハウや考え方、自分の人となりがわかる記事をお届けします

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1 件のコメント

  1. とても楽しく(失礼)拝見しました。
    やはりこちらが思う以上に騙そうとする人は巧妙なテクニックを使ってくるのですね。
    以前、海外に行ったことがありますが、全く語学力の無い私は騙そうと思えばいくらでも騙せるカモ状態でした。
    幸いにもそのような人はいませんでしたが。
    narrative clipの件ではお世話になりました。
    カメラは大好きですが、撮影していることを忘れてしまうので、意図しない写真が撮れていることに戸惑いつつ楽しんでいます。