こんにちは、パラレルブロガーのゆーすけ(@yusuke_plmrstn)です。
2018年1月6日に東シナ海で衝突、その後14日に沈没した石油タンカー船 MV Sanchi(サンチ号)。
事故原因の解明のためには本船のブラックボックスに入っているデータ解析が急務ですが、現在急ピッチで進められている模様。
いったい船のブラックボックスには何が入っていてどんな形をしているんでしょうか?
この記事の目次一覧
MV Sanchiのブラックボックス回収
MV Sanchiのブラックボックスが回収されたのは1月13日のこと。
本船の炎上が一旦落ち着き、中国のレスキューチームが消火活動および捜索・救助の活動を行うために焼けただれた本船に乗船した時にブリッジから回収されたとされています。
上の写真は中国のレスキューチームが乗船している時の様子。
赤い服を着た救助隊が写っているのがわかります。
その時の動画が中国のテレビで公開され、YouTubeにアップされています。
焼け焦げたMV Sanchi、見るだけでも炎上の激しさが伝わってきます。
そしてブラックボックスが回収されてから3日後の1月16日、MV Sanchiは爆発、転覆し、奄美大島から約300km離れた深さ115mの海域に沈没しました。
回収されたブラックボックス
その時に回収されたブラックボックスがこちら。
鉄製の円筒のようなものです。
黒く焼け焦げている様子がわかります。
ブラックボックスは厳重に箱に詰められ、封印し、大切に保管されていました。
回収されたブラックボックスには事故の原因解明に欠かせない様々なデータが記録されています。
中国当局は正式にブラックボックスの解析が始まるまで、何人にも触れさせないため、写真のように保管部屋そのものに封印をして厳重に管理していました。
(画像はすべてپیکر دو پرسنل و جعبه سیاه سانچی در شانگهای から引用)
ブラックボックスに記録されているデータ
船のブラックボックスには航海記録のあらゆるデータが記録されています。
天候、レーダー画像、音声、速力、無線などなど、航海中の船舶で起こっていることを全て記録するものです。
わかりやすいようにブラックボックスという表現を使っていますが、船舶で使われるブラックボックスの正式名称はVDR(Voyage Data Recorder)と呼ばれるもので、総トン数3,000トンを越える全ての世界中の船に装着が義務付けられているものです。
今回のように海難事故が発生した時に重要な証拠として使われるケースが非常に多く、責任の詳細を調査するために欠かせないデータがブラックボックス(VDR)というわけです。
関係者立会の元でオープン
しかし残念なことにVDRは完全無欠の切り札にならないケースがあります。
というのもVDRを含め船に搭載されているコンピューターシステムはセキュリティがまだまだ甘いことが多く、知識を持ったハッカーであれば陸上にいながらして船のAISやシステムに侵入してデータを書き換えることができるとされています。
洋上事故解決の切り札になるはずのVDRが悪意を持った人間の手によって都合よくデータ改ざんされてしまう可能性も考えられます。
今回のMV Sanchiの事故では、イラン、中国、香港、パナマの代表者、そしてメディア立会の元でブラックボックスが開かれました。
なお相手船MV CF Crystalのブラックボックスも一緒に回収されていて、この場で同時に開かれています。
この小さなチップの中に今回の衝突・沈没事故解明の全てのカギが詰まっているというわけですね。
画像ではさっそくデータ解析しているようにも見えますが、実は今後約2ヶ月かけないと真相究明はできないとされています。
時期でいうと2018年3月のうちには責任問題を含めた最終的な解決が期待されます。
事実、イランは今後2ヶ月以内に全てをハッキリさせると表明していて、各国協力しながら真相解明に向けた取り組みがなされています。
どういう結末になるか
ブラックボックスのデータ解析によって今回の衝突・沈没の責任の所在がどこにあったかハッキリしてきます。
海難裁判を経て損害賠償などの話につながっていくものと思われますが、MV Sanchiの亡くなった32名の船員さんが戻ってくるわけでもなく、今後の動向から目が離せません。
我々日本人からしてみると今回の事故の直接関係者に日本人がいなかったこともあってあまり関心が払われていないのかもしれませんが、沈没した船から流出し続けるコンデンセートによって汚染される海水や魚が日本に与えるダメージは計り知れません。
コンデンセートは揮発するから大丈夫という声もあれば、今の寒い時期だとコンデンセートは揮発しにくく、高い濃度のまま日本にたどり着くという声もあります。
果たしてMV Sanchiの事件はどういう結末になるんでしょうか、引き続き情報をお届けします。
MV Sanchiに関する最新記事は随時Twitterアカウント(@yusuke_plmrstn)で紹介しているので、フォローをお願いします。
MV Sanchiに関する関連記事はこちらです。