2016年から僕が個人事業の一環として取り組んでいる『ご署名ネット』というサービスがあります。
これのBCP(事業継続計画)をちょっと考えてみたのですが、現時点で有効な手段はなく、万が一のことが僕自身にあった時は事業継続不可という暫定的な結論に至っています。
この記事の目次一覧
デザイン業のBCP
俗に言うデザイン会社は、例えばトップに有名なデザイナーがいてその周囲にアシスタントがいます。
全てのデザインを一人で考えるわけではなく、アシスタントがある程度の形を仕上げ、校正・校閲が入って作品が仕上がるという流れです。
こういうデザイン会社のBCPはといえば、トップデザイナーに万が一の事が起こっても周囲の優秀なデザイナーが業務を引き継ぐことでおそらく致命的なダメージを回避することができます。
事態が改善されるまで必要最低限のサービスを提供することで企業・顧客にとっての損失を防ぐわけですね。
ドラえもんの生みの親、藤子F不二雄先生は1996年に亡くなりましたが、周囲の藤子プロの関係者の方々が作画や構成を引き継ぎ、今でもみんなから愛されるキャラとして活躍しています。大手事務所ならこういうことができます。
属人性の高いデザイン個人事業
ところが、ご署名ネットのように属人性の高いデザイン業を個人事業で取り組んでいるとBCPが非常に困難になってしまいます。
問題点は2つ。
いわずもがな1属人性の高い業務であること、2業務サポートの人員がいないことです。
1. 属人性・属人化
属人性が高いとは、簡単にいえばその人にしかできない事を意味します。その人がいないと仕事の進め方がわからず、業務が滞ってしまう状態ですね。
一般的にはきちんと業務分担したりマニュアルを作れば属人化は解消されるものですが、デザインや音楽、絵など芸術的な力を求められる分野においては代えが効かないことがしばしばあります。
ましてやご署名ネットのようにニッチな業界であればあるほどその傾向が強くなります。
2. サポート人員がいない
ご署名ネットは個人事業で、僕一人で全て運営しています。猫の手も借りたいほど忙しい時もありますが、様々なツールを駆使して効率化に取り組んでいます。
でもサポート人員が全くいなければ、もし僕が病気で倒れたりなんかすれば業務は一瞬で滞ってしまいます。
サインを作れないことも問題ですが、受けたオーダーに対する返事すら返せなくなってしまう恐れがあるんです。
差別化は諸刃の剣
ビジネスの基本は差別化です。他の会社にはない着眼点で価値を提供することが売上につながります。
独自性とかオリジナリティとかその人の味と称される肝なわけで、ニッチな分野で個人事業が戦うには必須の要素なんですが、ことBCPを考える上ではボトルネックになってしまうんですね。
数々の作品例を見て僕にサイン作りをお願いしたいと感じていただける人からありがたいことにオーダーをいただくわけで、それを他人がやってしまっては(他人ができてしまっては)意味がありません。
その結果が属人化につながってしまうのですが、世の中のビジネスオーナーの方々はこのあたりどう考えているのでしょうか?
簡易的なマニュアルだけ作りました
緊急事態にサービス提供を続けることはできなくても、せめて現状をお客様に伝えたり受注のストップぐらいはやっておかないとお客様の迷惑になってしまう!ということで、奥さんに向けたごくごく簡単なマニュアルを作成しました。

ここでやろうとしているのは、サインの申し込みフォームを停止してお客様向けのメッセージを掲載することです。
ひとまず受注だけでもストップしておけばお客様への迷惑を最小限に抑えることができますし、僕の体調不良がわかれば理解も得られることでしょう。
ご署名ネットの申し込みフォームはWordPressの再利用ブロック機能を使っています。フォームを1つ変更するだけでサイト内のあらゆる申込みフォームに変更が反映されるため、WordPressの操作を全く知らない奥さんにとってもハードルが低くなるわけです。
もちろんこれだけで完璧になるわけじゃありません。僕が倒れた時点ですでに作成途中のお客様に対するフォローがまだ考えられていません。
これは奥さんに受注表を共有しておいてお客様に連絡してもらうことで対応できそうな気がしています。
万が一というのは往々にして発生する
まさかそんなことが!?と考えることは意外と現実に発生するものです。
明日にでも僕が倒れてしまう可能性だってありますし、様々な緊急事態を想定して対策を考えておくことは必要です。
僕の体調不良以外のことでも緊急事態はたくさんあり、それぞれ対応も考えています。
ご署名ネットのサイトデータが消失したら?
→サーバーにバックアップを残している
ドメインの有効期限が切れてしまったら?
→自動更新にしている
サイン作成用のiPadが壊れたら?
→替えのiPadは所持していない。もう1台買っておくか?
作成途中のサインデータが消失したら?
→作成中のバックアップは取っていないので、取るようにする
なんらかの要因で申し込みフォームが機能しなくなったら?
→申し込みフォームのバックアップ作成済み
これでもまだ完璧ではありませんが、気付いたことは対応するようにしています。

ゆーすけ
自分事としてBCPを考える経験も複業ならではのことですね
備えあれば憂いなし
まだまだ不完全なBCPではありますが、事前に対策を考えておくだけでも全然違うと思います。
僕みたいに一人事業を展開する人はぜひ考えておくべきでしょう。