こんにちは、パラレルブロガーのゆーすけ(@yusuke_plmrstn)です。
2018年1月6日に東シナ海で衝突、その後14日に沈没して積み荷のコンデンセートと重油の流出が続く MV Sanchi(サンチ号)。
今回の事故は流出油やそれによる環境被害、また沈没して乗組員32名全員が死亡したMV Sanchiにどうしても注目が集まりがちですが、敢えてMV Sanchiと衝突した相手船の MV CF Crystalに焦点を当てたいと思います。
なお、MV Sanchiに関する基本情報は「石油タンカーMV Sanchiについて簡単に解説します」を御覧ください。
この記事の目次一覧
MV CF Crystalについて
MV CF Crystalは2011年に中国で建造された全長225m、幅32m、積載トン数76,000トンの香港籍の貨物船です。
漢字名では「長峰水晶」と表記します。
貨物船というのは船内に荷物を入れるための5つ〜9つの大きな箱のような空洞を持つ構造の船で、穀物や飼料、石炭などなんでも運ぶ船のこと。
上の設計図は参考画像ですが、こんな風に貨物室が区切られているのが特徴です。
事故を起こした当時MV CF Crystalはアメリカで穀物を満載し、中国に向けて航行中でした。
MV CF Crystalの乗組員は全員無事
衝突したMV CF Crystalには中国人乗組員21名が乗船していましたが、全員無事救助されました。
それに対し、相手船のMV Sanchiは乗組員32名全員死亡というなんとも悲惨な結果になってしまったわけですが、積載していたコンデンセートに引火し、MV Sanchiの乗組員は有毒ガスや火災の炎に巻き込まれ全員が命を落としたとされています。
一方のMV CF Crystalは積み荷が穀物だったため、衝突の衝撃でそれらが燃え上がることもなく、燃料流出もなく(推測)、乗組員も全員無事で推進機関にも影響がなかったため、自力航行でZhoushan(舟山)までたどり着いたといわけです。
MV CF Crystal事故後の写真
上の写真、これは今回の事故発生後に撮影されたMV CF Crystalの画像です。
船の船首〜左舷前方あたりが激しく凹んでいて、衝突の凄まじさを表しています。
そしてもう1枚のこちらの写真。
この写真はMarine Trafficという船の明細を紹介するサイトに掲載されている写真です。
リンク先のPhoto Detailsを見るとアップロード日が2018年1月16日になっているため、おそらくこの写真は衝突後に舟山(Zhoushan)まで自力航行して取り調べを受けるため着岸しているMV CF Crystalを関係者が撮影した1枚かと思われます。
1枚目の写真が粗いためハッキリ確認することは困難ですが、凹みの形と写真のアップロード日から、かなり高い確立で事故直後のMV CF Crystalかと思われます。
これだけひどい損傷でも船は自力航行できてしまうんです。
仮に船体に穴が空くような大事故だとしても、機関が生きていて、復元性(傾いた船体が元に戻る力)を失わない限り船が沈むことはありません。
余談ですが、船の周りに茶色い泥水が見えますが、これ海です。中国の海はどこもこんな感じで海水が非常に汚いことで有名なんです。
MV CF Crystalの運航会社
MV CF Crystalを運航するのはWikiによると上海企業の「Shanghai CP International Ship Management & Broker Co Ltd」という会社らしいのですが、不思議なことにこの名前で検索しても該当する会社がいっこうに見つかりません。
かろうじて見つけたそれらしき会社のHPにはなぜかアクセス拒否されるという始末です。
僕の検索の仕方が良くないのかもしれません、なにか情報を持っている方がいれば教えてください。
ほとんど公開されない情報
海外ニュースでもこの事故は連日大きく取り上げられていて(日本国内ではなぜか報道しない)、今後の被害予測など情報がどんどん出てくるのですが、不思議なことにMV CF Crystalに関する情報はほとんどといっていいほど開示されていない現状があります。
さきほど紹介した舟山で撮影されたであろう写真も実はかなり珍しい1枚なのかもしれません。
事故当時の様子がどんな感じだったのか、事故原因はMV SanchiとMV CF Crystalのどちらにあるのか、真相解明には現在解析中のBlack Boxが不可欠です。
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